Lai, H-Y. T. (2013)

Lai, H-Y. T. (2013) The motivation of learners of English as a foreign language revisited. International Education Studies, 6, 90-101.

 

台湾の大学生の英語学習に対する動機づけタイプを調査した研究。Gardnerらの提唱するthe Socio-educational Modelから integrative orientation, instrumental orientation、Deci & RyanのSelf-determination Theoryからintrinsic motivationとexternal pressure ("pressure" と論文にあり)、Dörnyei のL2MSSからideal selfとought-to self、そして travel orientationを測定する質問紙 (Chen, 2010から借用) を用いた。調査参加者は台湾の大学の昼間部または夜間部に属し、英語を専攻する大学生1年生から4年生までの267名であった。

 調査の結果、昼間部と夜間部の学生間に動機づけの違いはみられず、travel orientation, instrumental orientation, integrative orientation, the ideal L2 self, intrinsic motivationが高く、external pressure, ought-to L2 selfが低い結果となった。次に、各因子の項目得点平均値同士の相関をみたところ、travel orientation, instrumental orientation, integrative orientation, intrinsic motivationとideal L2 selfの間に正の相関 (.569 ~ .739) がみられた。このことからLaiは、台湾のEFL学習者のideal L2 selfには世界を行き来して様々な国とその文化に触れ、将来の勉学や仕事に成功するという要素が含まれているだろうとしている。また、台湾のようなEFL環境にあって学習者は、integrativenessの「統合」先が特定の英語母語話者の集団や文化というわけではなく、国際社会を想定していると主張している。

 結論としてLaiは、ideal L2 selfが台湾のEFL学習者が英語学習に成功するのに大切な要素となり、英語教師は学習者が ideal L2 selfを描き、維持できるよう導くべきだと述べている。

 感想として主に2点ある。まず、integrativeness の問題については既にYashima によって指摘されているところであり、integrativenessの項目を質問紙にいれる意味に少々疑問がある。この論文でもdiscussion のセクションでYashima を引いてinternational postureに触れているが、 ここで議論するというよりは、あらかじめ international posture に関連する項目を入れてみると面白かったのではないかと思う。もう一点は、SDTに関連する因子についてである。external pressure の因子内の項目に external regulationのものとintrojected regulationのものが混じっている。SDTの良いところはexternal motivationの中に複数のregulations が含まれていることなので、このあたりがもう少しきめ細かく入っていれば、もっと面白かったのではないかと思う。